英国を皮切りに新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったものの、欧米を中心に感染が拡大していることから相場は弱気になっているようです。現在のコロナの状況を重く見ているのは、米国エネルギー情報局 (EIA)も同じ様です。
EIAは12月の短観で、2020年の世界の原油需要見通しを、日量9,238万バレルとし、11月の予想から同53万バレルの下方修正、2021年の需要予測は日量9,861万バレルで11月の予想から同64万バレルの下方修正としました。
一方、2020年の世界の石油供給見通しは9,245万バレルで11月から同17万バレルの下方修正、2021年の供給予測は11月から同97万バレルの下方修正で、日量9,742万バレルとしました。
EIA12月予測 (単位:万バレル/日)
2020年 2021年
需要 9,238 9,861
供給 9,245 9,742
需給ギャップ 7(需要超過) 119(需要超過)
データを見る限り、2020年6月以降の減産で在庫量が相当削減できたこと、また今後も削減して行けるであろうことがうかがえるのですが、たEIAは2021年末でも今年増加した在庫が4億バレル余り残るとしています。(コロナで一時は12億ドルほど増加しました)
天然ガスの生産は活発な事、また天然ガスは減産の対象とはなっておらず、ガスと一緒に生産されるコンデンセートがより大きな位置を占め、需要の中に含まれているのかもしれません。
コンデンセートといえば、興味深い記事が。
OPECプラス、29日に非公式会合=関係筋(朝日新聞2020年11月29日)
(前略) 同国(ナイジェリア)は今月、アグバミ油田をコンデンセート(超軽質原油)へと分類することで、減産の割り当て枠を再評価するようOPECに申し出た。これにより、ナイジェリアの減産の順守状況は改善する公算が大きい。ただ、OPEC議長国を務めるアルジェリアは、減産枠を変更しようとする試みは、市場崩壊を招く可能性があると指摘している。(引用ここまで)
減産対象となっている超軽質「原油」を「コンデンセート」とすることで、減産枠から外してくれと言うことですね。
この油田の原油の成分を見ると、オーストラリアやロシアの「コンデンセート」と変わらない軽さなので、理にはかなっています。むしろ、いままでよく我慢してきたなと。
この手の話が出てくると言うことは、協調減産もいよいよ我慢の限界を迎えつつあるということでしょう。