なぜ、日本円をアルファベットで書くと「YEN」なのか?「EN」ではマズかった?


日本の通貨単位「円」。読み方は「えん」ですね。

しかし、ローマ字表記にする時「円」は「YEN」と表記されます。なぜ「EN」ではなく「YEN」なのか、理油がありました。

日本銀行によると3つの説があるとのこと

同じように疑問を持つ人は多いようで、日本銀行はウェブサイトの広報活動のページで3つの説を紹介しています。

(1)発音上の理由

「EN」は外国人が発音する「エン」より「イン」に近いものになるとして、Yをつけて「YEN」としたのではないかとの説です。ちなみに、幕末日本を訪れた外国人の記録には、「江戸」を英語で「YEDO」と表現したものがあります。

アルファベット表記を読むのは外国人だから、外国人にとって発音しやすい綴りが一番ですね。「江戸」を「YEDO」記述していたことは知りませんでした。確かに英語ネイティブは発音しやすいと思います。

(2)諸外国の語句との区別

「EN」は、オランダ語では「〜と」、「そして」の意、スペイン語、フランス語では「〜の中に」の意を持つ、よく用いられる語であるため、これらと同じ表記を回避したとの説です。

Il a beaucoup d’argent ?    Oui, il en a beaucoup.

彼はお金をたくさん持ってますか?  はい、それをたくさん持ってます。

本当だ。フランス語で「en」は代名詞(それ、あれ・・など)なので、たくさん使います。これま紛らわしい。当時のフランスは植民地を大量に持ち、フランス語も現在よりはるかに国際語としての地位が高かったので、考慮したのかもしれません。

(3)中国の「圓(ユアン)」からの転化

中国の「元」紙幣は、表に「〇圓」、裏に「YUAN」と表示されていました。これが「YEN」に転化したとの説もあります。

「YUAN」と表記して「ユエン」と発音するのですが、「ユ」ですからね。少し違うような。

私が一番驚いたのは、「1885年(明治18年)の発行開始以来、円のローマ字表記はすべて「YEN」となっています。」という解説の文章。円の発行以来、一貫してYENが使われていた歴史ある綴りでした。

「¥」記号は「YEN」から生まれた

金額を示すときに使うこの「¥」マークは、「YEN」の頭文字「Y」に横棒を加えるという形で産まれました。中国の通貨「元」も同じく「¥」マークを使います。「YUAN」の頭文字も同じく「Y」ですからね。

これは、アメリカ合衆国の通貨であるドルを「$」と表記する慣習に合わせて、「円」の頭文字「Y」に同様の二重線を入れて「円マーク」にしたという説が一般的です。なぜ二重の横線なのかは謎のままです。

1本ではサマにならなかったのか。それとも、二本と日本を掛けたのか。



実際に¥記号を使っているのは日本人だけかもしれない説

みなさんは、どんなときに¥記号を目にしますか。または書きますか?手書きの領収書が多かった時代は金額の頭に「¥」を手書きで書いていましたね。

この原稿ですが、「えん」とタイプして「¥」に変換しています。これも、知っている人が多いとおもいます。

よくキーボードを見たら、右上に「¥」がありました。なんだ、一発で書けるじゃないですか。

ドル記号「$」は英語キーボードに標準装備ですね。さすが基軸通貨・・・というかコンピューター自体米国発祥ですしね。

パソコンで¥マークが書けるのは、日本語フォント入れて、日本語キーボードを使っているからです。なので、世界の人は¥マークを知ってはいても、使う人はほとんどいないと言えます。実際、しばしば文字化けするようですしね。

そのうえ中国も¥記号(もちろん彼らにとしては元記号ですが)なので国際間取引で¥記号を使うと混乱します。

ちなみに¥記号が使えなくても困りません。国際間取引では日本円は「JPY」という世界共通の通貨コード使います。昔は貿易屋ぐらいしか必要のない知識ぐらいに思っていましたが、今はFXや個人輸入などでおなじみですね。

通貨コードが整備されたのは意外と新しく、1978年のことです。Wikipediaにもありました。それ以前の時代は、為替取引なんて極々一部の限られた人ぐらいのものだったのでしょう。

ISO 4217は、1978年に国際標準化機構(ISO)が発行した国際規格で、各種の通貨を表すコードについて規定している。一般に通貨コードと呼ばれる。

東アジア諸国の通貨、元々はみんな「圓」という字

日本円だけではなく、東アジア諸国の通貨「人民元」「韓国ウォン」「香港ドル」「台湾ドル」はみな元々同じ「圓」という漢字が使われていました。これは元々「丸」を意味する感じで、お金が丸いことからお金は「圓」だったのです

日本円・・・元々は「圓」という漢字だった。

人民元・・・正式表記は「圓」、画数を少なくするため、同じ発音の元で表記するようになった。

韓国ウォンの・・・ウォンは「圓」の朝鮮語の発音がウォン

香港ドル・台湾ドル・・・域内の表記は今でも「圓」若しくは「元」が使われている。



日本銀行本店旧館を上から見ると「円」に見えるようにデザインされたというのは都市伝説とは言い切れない説


出典:東京都文化財データーベース

日本銀行旧館ビル、明治29年に完成した西洋式建築物で、国の重要文化財にも指定されています。

このビルを上空から見ると・・・なんと「円」に見えるという話がよくありますが、都市伝説のようです。

上でも触れたように、当時は「円」ではなく、旧字体の「圓」が使われていました。常用漢字が制定されて硬貨やお札に「円」を使うようになったのは昭和25年。ということで偶然です。

・・・とは言い切れないという説もあります。

明治時代以前から「圓」の略字として「円」に近い形で書かれていたという話もあります。「日」の字を90度横に倒したような感じらしい。

もしかしたら、建物のデザインを描いた建築家、辰野金吾氏(東京駅の赤レンガの駅舎も設計した近代建築の父ですね)が遊び心で仕込んでおいたのかもしれません。


関連:1869(明治2)年3月4日(旧暦)、明治政府が貨幣を円形として金・銀・銅の貨幣を鋳造する円貨の制度を定めました。その時の話に少し触れました。

【歳時記】3月4日 今日は何の日?:バウムクーヘンの日、「円」が通貨になった日、スカーフの日など