ディクテーションを超効果的にする方法。目的とデメリットを知って最適な活用法を見つける!


ディクテーションという英語の学習方法をご存知でしょうか。

リスニング力の向上に役立つ方法として知られており、みなさんの中でも実践している人も多いかと思います。

しかし、ただ漫然とディクテーションをしていませんか。

どのような勉強法も少しだけ意識を向ける方向を工夫することで、学習効果が飛躍的に向上することがあります。ディクテーションも同様です。

今回は、「ディクテーションの効果を高める」ために、何を意識しながら学習すればよいのかをお話します。

ディクテーションとは何か?

ディクテーションというのは「書き取り」のことを言います。英語学習の場合、あなたの耳に聞こえてきた英語をそのまま書き取っていくという練習がディクテーションです。

リスニング力を上げていくためによく用いられる方法で、効果も高いと言われています。

書き取りをすることでリスニング力を高めるという不思議

書き取りを行うことと、リスニング力の向上、この二つの関係がそれほどクリアには」見えてこない人もいるかと思います。

「リスニング力を上げるには、とにかく聞くことが大切では?」と思うのは自然なことです。

しかし、私たちは「しっかり聞いている」ようで、意外と「聞いていない」ことが多いのです。「聞き取れていない」といった方が良いかもしれません。

実は、聞いているだけの状態は、本人が集中しているつもりであっても、しばしば知らない音が右から左に流れている状態が起こっています。

たくさん英語を聞いているのだけど、なかなかリスニング力が向上しないと不満を持っている人はもしかすると、このような聞き流しの状態が起きているかもしれません。

そこで、本格的にしかも短期間でリスニング能力を鍛えたいのであれば、聴くだけの勉強法はいったん横に置いて、ディクテーションをすると良いでしょう。



ディクテーションが効果的な理由

ここまでお読みになって、もうお気づきの方も多いかもしれません。意外と「聞いていない」聞き取れていない」状況を避けるのに効果的なのがディクテーションです。

ディクテーションの練習では、聞こえてきた英語を一語ずつ書き取っていきます。

もしもあなたが集中できていなければ、聞こえた英語をすべて漏らさず書き取ることはできません。ディクテーションを取り入れることで、効果の高いリスニング練習をすることができるというのは、このような理由によります。

「聞いているだけで英語が聞けるようになる」という宣伝文句がありますが、残念ながら、そのようなことはありえません。

音や言語に関する特殊な感性を持っている人ならもしかしたら・・・・ぐらいの可能性だと思います。少なくとも、多くの人に当てはまることではありません。

英語を聞き流しているだけではリスニング能力はほとんど上がらないと考えてください。

やや余談になりますが、大学入試センター試験(現:大学入学共通テスト)でリスニング試験が採用さるようになり、高校の英語の授業でもリスニング対策が必要となりました。

現在、多くの高校では、リスニング対策としてディクテーションが取り入れられています。これはディクテーションの効果を実感しているからでしょう。

高校によっては、定期テストでディクテーションが採用されているところもあります。

実は有名な先生がこの方法を提唱していることが各校で導入が進んだ大きな要因ではないかと思われるのですが、いずれにせよディクテーションは高校英語の授業でもリスニング学習の王道となりつつあります。

ディクテーションには自分の実力が把握できるというメリットがある


英語リスニングのイメージ画像

上の段落で、「聞き流すことなく集中して英語を聞くことができる」というディクテーションのメリットをあげましたが、もうひとつ大きなメリットがあります。自分のリスニングの実力が把握できるのです。

英語を聞いていて、「うんうん、わかったぞ」と、なんとなく英語を理解した気になってしまうことはよくあります。実際には内容を勘違いしているとか、単語を別の単語と聞き間違えているといった具合です。

これでは理解したことにはならないのですが、この間違いにどこで気づけばいいのでしょう。

ディクテーション、英語を書き取ることで、この「わかったつもり」を見つけ出すことが出来ます。書き取った記録に、ごまかしはききません。どれだけ聞き取れたのかが一目瞭然です。

また、書き取れなかったところや、間違えて書き取ったところから、自分の弱点を分析できます。

たとえば、聞き取りが苦手な発音を把握することができます。thとかfなどどこが聞けていないのかが判ってきますので、あなたが苦手としている発音を集中的に練習することで、聞き取りを強化することができます。

また、発音を勘違いして覚えている単語の間違いにも気づきます。

私の「あるある」な例で恐縮ですが、「Vitamin(ビタミン)」という単語、聞く時はきちんと「ヴァイタミン」と聞いています。ところが英文を読むときはいつも「ビタミン」と頭の中で読んでいたのです。すると、英会話でもつい「ビタミン」と言ってしまい、相手が「???」。


綴りと正しい発音の記憶結び付けることも、ディクテーションによってえられる効果のひとつです。

このように、実際に英語を書き取ってみると、意外なところに自分の弱点があることが良くわかります。みなさんも、自分の実力を把握し、弱点を分析するためにも、ぜひディクテーションを試してみてください。



効果的なディクテーションの練習方法

まずは、やさしい素材を選びましょう

日本語でも話す速度と書く速度、後者の方が遅いのは明確です。

ということで、ディクテーションの素材としては、とにかくやさしいものを選びましょう。

英文を目で読んだら簡単に理解できるぐらいの素材ではないと書き取りが追い付きません。特に初心者は、はっきり・丁寧に、そしてゆっくりとしたスピードで話されているものを選ぶようにしてください。

特に耳に自信がない場合は、まずはきれいな発音(滑舌の良い話し方)の英語を聞き取れるようになってから、徐々にカジュアルな発音に慣れていく、という方法が私の経験からのアドバイスです。

しばしば、映画やドラマなどを何本もディクテーションすることで英語力をつけたというエピソードを見かけます。

しかし、初心者や中級者の人は真似すべきではないと思います。内容の4分の1も書き取れないのではないかと思いますし、それだと、何のためにディクテーションをしているのか分からなくなってしまい、挫折してしまいがちです。

あなたが好きな題材をえらびましょう

ディクテーションの練習は集中力を要するうえに、時間もかかるので頭が大変疲れます。

リスニングに慣れていない人だと、短い素材を選んで練習をしても30分から1時間くらいはいつの間にか過ぎています。

ディクテーションにはじめて挑戦するのであれば、教科書ガイドなど、中学校の教科書を素材として使うといいでしょう。また、NHKラジオ講座もネットで音声が得られますので、基礎英語からレベルに応じて選ぶとよいでしょう。

特にディクテーションの練習がしやすい教材としては、NHK CD BOOK Enjoy Simple English Readers Short Stories (語学シリーズ) が適しています。会話形式で1話あたりの長さも丁度よく、なにより平易な英語でハッキリと発音されているので、打って付けです。

これらの題材ではやさしすぎるという人は、もう何を題材にしても大丈夫でしょう。

ビジネス英会話のテキストブックの音声やTOEICのリスニングパートを題材にすると、試験勉強も兼ねて効率が良いと思います。短ければ10秒くらいですし、まとまった会話であっても30秒くらいの長さなので、話す速度は早くても(ナチュラルスピード)負荷は小さいと思います。

ディクテーション練習の仕方・流れ

一例として、実際のディクテーション練習の流れをご紹介します。

1. 音声を3~5回聞いて書き取る
2. スクリプトを見て書き取れなかったところを確認
3. 聞き取れなかった原因を分析する
4. 聞き取れなかった部分の発音を丸ごと覚える
5. 数日たったら再度復習(1の書き取りを行う)
6. 3で見つけた弱点を補強する学習を普段から行う(これが一番大事!!)

1.音声を3~5回聞いて書き取る

音声を何回か繰り返し聞き、英文もしくは単語を書き取ります。3回から5回は聞き返して構いません。スクリプトを見ないよう我慢しましょう。

2. スクリプトを見て書き取れなかったところを確認

「もうこれ以上は無理!」というところまで書き取ったら、スクリプトを見て英文を確認しましょう。

3.なぜ聞き取れなかったのかを分析する

なぜ聞き取れなかったのかを分析してみてください。大まかな傾向として次のような理由になると思います。

・知っている単語だけれど、スピードが速すぎたから
・知っている単語だけれど、発音が変化していたから
・その単語や表現を知らないから
・自分が思っていた発音と実際の発音が異なっていた

このように、様々な弱点がみえてくることでしょう。見つけた弱点はノートにメモしておいて、普段の勉強に生かしましょう。

4.聞き取れなかった部分は発音を丸ごと覚える

表現や単語を知らないために聞き取れなかったのであれば、意味を調べて発音ともに憶えましょう。

意味はわかるのに、音が聞き取れなかったという場合は、その部分を何回も聞き、その音を脳に覚えさせましょう。できればフレーズとしてそのまま覚えてしまいましょう。

聞き取れなかった音をできるだけ忠実にマネて、声を出して発音練習をすると更に効果的です。

5. 数日たったら再度復習(1の書き取りを行う)

2~4に取り組んで弱点をつぶせたなと思ったら、再度、「1」の書き取り練習をしてみましょう。前回と比べてスラスラと書き取れたら、成長の証です。

6. 3で見つけた弱点を補強する学習を普段から行う

ここが最も重要です。

ディクテーションをし続けることが目的ではありません。目的はリスニングの力をつけることです。したがって、ディクテーションをすることで明確になった自分のリスニングの弱点を補うことが大切です。

リスニングの力をつけるためには、ディクテーション以外の様々な学習が必要になってきます。そちらにシフトしないと弱点を根本的に克服することはできません。



ディクテーションにもデメリット有り!過度に取り組まないように注意しましょう

ディクテーションは、自分が聞き取れていない箇所を把握するために行うリスニング力強化のための練習方法のひとつです。したがって、弱点の把握が済んだら、ディクテーション練習は一旦終えてください。

慣れてくると、かなりの精度で書き取れるようになってくるので、それが快感になって続けてしまったり、より高い精度を目指してさらにディクテーションに取り組みたくなるという人もいるようですが、やり過ぎは禁物です。ディクテーションのデメリットも存在するからです。

ディクテーション練習のデメリット

ディクテーションのデメリットとして、過度に取り組むと「一語一語を丁寧に聞き取ろう」という意識が強くなりすぎる点があります。その結果、リスニング力が伸び悩みがちになります。

実際の会話、リスニングではそこまで一語を丁寧に聞き取ることはしません。聞き流しとは違いますが、文章の大まかな意味を理解できれば十分な時もありますし、聞きながら返答を頭の中で用意していることもあります。

ディクテーションを過度に取り組むと、このような実践的なセンスがおろそかになりがちになります。

また、「リエゾン」への意識弱まる点もデメリットといえるでしょう。

「Let it go」が、実際は「レリゴ」と発音されますよね。某アニメの歌のタイトルですから皆さんご存知ですね。

このように、単語と単語がつながることをリエゾンと言いますが、ディクテーションの場合、頭で補正して単語を一つ一つ書き取っていたと思います。

このリエゾンについては、フレーズを丸ごと覚えてしまった方が良いのです。

ディクテーションの練習としてはこれが聞き取れているか否かを確認して、出来ていない場合、それを覚えれば十分役割を果たしていいます。リエゾンも同様で、書き写すようになることが重要ではなくて、聞き取れなかった音を捉えられるようになることが重要です。

したがって、リエゾンを身に付けるにはディクテーションではなく、リエゾンの法則、パターンを覚える学習に移った方が手っ取り早いといえます。

ディクテーション学習でいまひとつ成果を感じない場合の対処法

ディクテーションは、リスニングの弱点把握とその強化のための練習方法のひとつだとお話しました。

これで成果を感じない場合は何がネックになっているかを考えると、どこが聞き取れていないか、聞き取りの弱点は見つけられたけど、その弱点の部分がいつまでもクリアに聞き取れるようにならないという問題ではないかと思います。

例えば、前置詞のatやon、冠詞のaやtheなどがいつまでたっても聞き取れないとしましょう。これは、弱発音に意識が向いていないことが原因です。つまり英語のリズムを意識して英語を聞くことがまだ十分に身に着いていないことが考えられます。

やさしい単語が聞き取れないとします。例えば、goodの発音が「グッ」に、hatの発音が「ハァ(ト)」になると何をいっているのかわからない。これは、発音の変化のルールを学習していないことが原因です。

これとは別に、文法力が十分でないせいで、聞き取れない場合もあります。文法の知識があればある程度は来るべき単語が推測できますので、リスニング力を支えています。この場合は文法の学習が必要です。

このように、ディクテーション学習で明らかになる弱点は多岐に渡ります。解決するためには、一旦ディクテーションから離れて様々な学習法を取り組んでいくことがリスニング力の強化に最も効果的です。

あとがき リスニング学習をより効果的にするために、様々な学習法を組み合わせてみましょう


あとがき リスニング学習をより効果的にするために、ディクテーションに加えて様々な学習法を組み合わせてみましょう

先の段落で半分ほど述べてしまっているのですが、リスニングの弱点を克服するためには、様々な学習法を組み合わせることが最も効果的です。

リスニング力の強化のためには、あなた自身の弱点を見極めたうえで、強弱リズム学習、発音、フォニックスなど、様々な学習法を組み合わせてみましょう。
そして、学習したら「音読!」とにかく「音読」です。

ここまで来るとディクテーションの話から完全にそれましたので、リスニング力強化のための学習法は、順次、別のトピックで取り上げたいと思います。