昔も今も「音読が大切」と言われている
今回は英語の音読についてのお話です。
ファッションの世界ではありませんが、英語学習にも流行があって、聞き流し、シャドーイングなど様々な手法が注目されていますが、音読は最も昔からある学習法のひとつです。
基本的な学習方法、トレーニング方法といった方がいいかもしれませんが、新しい学習法が紹介されても、音読の重要性が薄まったという話は聞いたことがありません。それだけ「音読は大切」です。
まずは、「なぜ大切か」という点から触れていきます。
音読のメリットを確認しておくことでモチベーションの維持に役立つでしょうし、効果を意識した取り組みに心がけることに繋がると思います。
音読のメリットは、文章をイメージ化することにある

音読の最大のメリットは、英語の文章と意味を直接結びつけることができる学習法だという点です。つまり英語の文章を英語でイメージできるようにするトレーニングなのです。
まずは試してみましょう。下記の文章を黙読してください。
I decided to continue my training in the United States.
いかがでしょう。頭の中で日本語に変換していませんか。
「decided」を目にした段階で「決断した」と訳し、「continue」に進むと「続ける」・・・以下続く。といった具合です。
日本語での意味を知る事も大切ですから、それは間違った頭の働かせ方ではありません。むしろ中学高校できちんと授業を受けてきた人は、この「黙読して翻訳する」習慣が身に着いています。
ところが、このように日本語訳で理解する学習をしていると、なかなか英語が身に付きません。英語をとっさに日本語に訳して、日本語として理解するという状態が続いてしまうのです。
この方法で限界を迎えるのは、長文を読む時であったり、ナチュラルスピードで大量の英語を聞く、そして、会話をする時です。
いま、あなたは英語を使えるようにと、上達目指して学習しているのですから、遠くない将来にこの壁にぶつかってしまいます。
では、先ほどの文章を音読してみましょう。
音読に切り替えると、あなたの頭は音読することに意識が向いていますので、一語一語日本語に変換している余裕はありません。
しかし、日本語に変換しないかわりに、文章単位でおおよそ何を言っているかを英語でイメージできているのではないでしょうか。
そして「私はアメリカで練習を続けることにした」という日本語は、あまり浮かんでこないはずです。
音読によって英文とイメージが直接結びつくようになります。そして英文を黙読するときに行っていた日本語訳のクセを取り除くことができます。
ここまで読んでまだ実感がわかない人は、音読を続けることでこの感覚が身に着きますので安心して続けてみてください。
英語の音読学習をする前提。音読する文章の理解が出来ていること。
簡単に言うと、一通り学習してからその学習内容を音読しましょうということです。
音読によって英文と意味(イメージ)を結びつけようとするのですから、意味はすでに理解している必要があります。
まったくわからない英文を音読しても意味がありません。
言語として理解できていない状態なので、とりあえず声に出しても音として頭に響くだけです。音読の効果はまず期待できません。
まずは、英文に出てくる単語、表現、文法など、一通りの学習を終えましょう。
この段階で理屈とか意味はすでにわかっている状態になっています。このタイミングで音読をすることで、英語を体に覚え込ませることができます。音読は目と耳と口をシンクロして働かせていますから、文字通り英語を「体得」することになります。
こうして音読を続けていくと、日本語訳をしなくても直接的に英語がイメージできるようになっていきます。この後にあげる音読のやり方を取り入れればさらに効果的です。
効果的な英語の音読の学習方法

まずはオーバーラッピングをしてから音読へ
オーバーラッピングとは、英文スクリプトを見ながら、英語の音声と同時に、発話するトレーニングです。必ずネイティブ音声で行いましょう。
なぜなら、いきなり英文を読もうとしても、発音・イントネーション・スピードすべてがデタラメになるからです。たとえ、先に音声を聞いていたとしても覚えていませんので、これもいけません。
人間の記憶には限界があります。加えて音声は情報量が多いのですぐに覚えられるといったものではありません。
最初にネイティブ音声に合わせて声に出しておけば、発音やイントネーションも覚えやすいうえに、不安感もなくなります。自信をもって英語を口から出せるようになります。
音読する部分の英文の学習はしっかりと。音読は「仕上げ」として
音読の目的は、英文と内容(イメージ)を結びつけることです。
そのためには、英文の内容を完全に理解している必要があります。音読しようとする英文に疑問点が残っていてはイメージを難しくします。
単語や表現はもちろん、文法や構文も含めて英文を理解しましょう。とはいえ、普段学習している方法で構いませんので特に身構える必要はありません。
上の段落の繰り返しになりますが、オーバーラッピングを行って、正しい発音やイントネーションを覚えましょう。
これらの学習を終えたら、音読の出番です。音読はこの一連の学習の「仕上げ」として行います。
英語の音読は英文の内容をイメージしながら
ここまでしっかりと学習をしてきたのです。音読の効果は最大になるはずですが、ひとつ落とし穴があります。
これまでの学習で理解を深めた分、内容や単語・文法が頭に入っているので、頭を働かせなくても、ただ声を出すだけの音読ができてしまいます。そして、いま読んでそれを理解したような錯覚をおこしてしまいます。
これでは学習効果はありません。
音読をするときは、必ずその内容をイメージしながら読んでください。
読みながら、「なるほど。なるほど」と同時に内容を理解していく感覚です。誰かに語り掛けるように、もしくは読み聞かせるようにしてみるのも内容のイメージをしやすい音読です。
音読に使う教材は何がおすすめか
先にもあげましたが、音読に使う教材は、ネイティブの音声付きにしてください。これだけは絶対条件です。
レベルは、あなた自身の実力に合わせて、ということになりますが、始めにざっと読んだときに、あまり日本語訳に頼らずに英文の内容を理解できるレベルがちょうど良いと思います。
使われている語彙や文法が難しいと感じる英文は避けましょう。なぜなら難しいと感じる英文は、英語を発声した時にイメージ化を難しくします。この結果、音読の効果が低下してしまいます。
リクルートのスタディサプリENGLISH(新日常英会話コース)は、膨大な量のドラマ形式教材があって、音読学習にも適しています。


音読は30回繰り返せ!は本当なのか?⇒本当ですがその意味とやり方を知らないと効果は半減します
「音読は30回くらい繰り返して練習してみましょう!」とよく言われています。こんなにする必要があるのでしょうか。
これは英語を声に出す時間を1日あたり何分確保したらいいのかという問題提起から生まれた話だとおもいます。結論から言うと30回ぐらいは繰り返しましょう。
最初は慣れないかと思います。口がつかれてくるのはもちろん、上で例示したような英語のイメージなど意識した音読をすると頭もつかれます。しかしこういった面倒な作業こそ、英語上達のカギです。
ところで、この30回という話の出どころです。
私見ですが、英語学習者のアウトプットの時間をどう確保するか、そしてアウトプットを身に付けるためにはどれぐらいの量が必要かという観点から生まれたのだろうと思っています。
別のトピックで述べましたが(後ほどお読みください)、普通に英語を勉強していると、文法、語彙、リーディング、リスニングなどインプット(入力する)学習が中心になってしまいます。
もちろん覚えることもするべきことも沢山ありますので、当然のことではあります。しかし、会話が「聞く」というインプットと、「話す」というアウトプットの両方から成り立っていることを考えると、ほとんどの学習者において、アウトプットの時間が圧倒的に足りていないのが現状です。
1日で2時間英語を勉強したけど、英語を声に出した時間が数分しかなかったということも多いかと思います。
「話す」ことはアウトプット、「読む」ことはインプットに分類され、異なる英語の技能ではあります。しかし、「音読」をすれば口を使って声に出したという点では同じです。
英語で「話す」練習で良いスタートを切るためにも、早いうちに「読む」ことで、英語の口を鍛えておきたいのです。
そうすると、学習時間1時間のうち、20分ぐらいは音読に使っても多すぎではありません。20分あれば初級者の段階の教材でしたら20~30回程度の音読ができることになります。
むしろ初級者の方こそ、音読を盛り込んだ学習内容にすべきなので、読む回数は多くなります。中級者にまでなってくると、音読以外で学習することが増えてきますので、音読の練習量や割合は少なくなります。
ということで、ちまたで言われる、初級者は1日30分を音読しましょうというフレーズ。これはけっして多すぎる学習量ではないのです。
なお、ここで例示した学習時間は、本格的に学習をする方を念頭においています。
1日あたり30分ぐらいしか学習時間がない、もしくは軽く英語を勉強しているだけなので、ひとまずはそれぐらいの学習時間で十分という方もいるかとおもいます。
こういった方は、総学習時間に応じて、たとえば1日10分ほど音読してみてください。それでも毎日続ければ確実に力をつけることができます。
音読に慣れたら、シャドーイングを取り入れてみましょう。リスニング力の向上にもつながります。こちらのトピックで詳しく解説しています。
英語学習の中級者以上にちょうど良い、英語のシャドーイングの方法とその効果
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