スタッドレスタイヤはなぜ雪の上でも滑らないのか。

雪道の必需品スタッドレスタイヤ。夏タイヤと違って運動靴の裏側のようにブロックが目立つぐらいで、タイヤであることには変わりない。でも雪をしっかりグリップする。その原理を知って理解を深めることで、安心安全な運転につとめましょう!

氷が滑るのではないんだ!

凍った路面をツルっと滑るイメージがありますが、十年以上前タイヤメーカーのCMでもやっていました。

タイヤは氷の表面で滑っているのではなくて、グリップによって生じた摩擦熱で氷や雪の表面が溶けた時の水膜が原因なのです。スキーやスノボで滑ることができるのも同じ原理です。

スタッドレスタイヤはこの現象を封じ込めることでスリップを防止しようとしています。

水の膜を封じ込めろ!

デコボコ

スタッドレスタイヤが運動靴のようにデコボコしているのは、

雪をしっかり噛み込みグリップするだけでなく、

  • 出っ張ったところが水の膜にタイヤのゴムが入り込み、ゴムが直接路面に触れられるようにするためと、
  • そこで追いやられた水を排出するためです。

柔らかいゴム

そのためには、ゴムも柔らかでなくてはなりません。柔らかさが密着性を高めているのですね。ところで、ゴムは低温になると硬くなります。ただでさえ硬い夏タイヤ。冬は更に硬くなっているのです。

スタッドレスタイヤは化学素材を混ぜ込むことで低温になっても硬くならないゴムになっています。

ところで、スタッドレスって何が「レス」なのか?つまり何かが「無い」タイヤという意味です。スタッドとは「留め具」「金具」という意味。では金具付きのタイヤなんて有るのかと?

あったのです。「スパイクタイヤ」というものがかつてありました。これで雪に覆われていない路面を走行すると、アスファルトや横断歩道などのペイントをガリガリ削って、道路を傷めるは、粉塵で健康被害ももたらすはで大変な事でした。

その結果、1991年(平成3年)4月に販売禁止となりました。スパイクタイヤ。年配の人には懐かしい言葉、若い人には「なにソレ?」ですね。