物流大乱?コンテナ船運賃急上昇

イギリスでの新型コロナウイルス変異種の発生により、大陸側の欧州各国がイギリスからの船舶の入港を禁止してしまいました。これにより、特に英仏両国の港へ向かう道路はトラック、トレーラーで大渋滞し、混乱しています。

2020年12月、米国向けコンテナ船運賃は前年比2.8倍


さて、話は12月の頭にさかのぼりますが世界的にコンテナ船の運賃が急上昇しています。
香港の情報会社「フレイトス」のデータによると、世界の貿易を担うコンテナ船の運賃はこの夏以降急激に上昇しています。中国からアメリカ西海岸に向かう主要な航路では前年の同時期と比べて約2.8倍にもなりました。

新型コロナの影響で目まぐるしく変わる物流環境


直近の値上がりの背景は、新型コロナウイルスの感染拡大で大幅に減っていた輸送量が、いわゆる巣ごもり需要の増加などで一転して急増したことが挙げられます。このため、減便したり減速していた船舶が多かったのですが、復活させるためには急遽フィリピンなどから船員を呼び戻さなければならないのですが、乗船前に隔離させなければならないなどコロナ前のように容易ではありません。一方で、船員や港湾の従業員で感染が発見されると、隔離や消毒などのために機能が停止してしまいます。
このような難しい状況にも関わらず、どうにかやり繰りしてこられたのですが、ここに来て感謝祭・クリスマスシーズンによる欧米向けの物流がピークに達し、パンクしてしまったようです。ロサンゼルス・ロングビーチ港沖では十数隻が待たされているようです。港湾ストライキを喰らった時の様な状況です。

海上コンテナの輸送障害は玉突きで広がりやすい性質がある

特に海上コンテナ場合、空のコンテナを港に戻す、または別の輸出品の工場や倉庫に回して、輸出貨物を積み込み港に運び込むなど意外と複雑です。ですから、どこかが止まると玉突きで別のところが止まったりするという性質があり厄介です。
また、船も2点間を往復するという運航形態ならばまだ良かったのですが、ほとんどの路線は巡回するルートになっています。例えば、シンガポールからタイ、ベトナム、中国を回ってアメリカ西海岸といった形です。
このため、震源地とは全く関係のないところで影響が出ています。ジェトロの短信によると、
例えば在フィリピン日系企業は、タイやインドネシアからの部品輸入が滞り在庫でしのぎ切れない状況に成りつつあるようです。また、マレーシアでは中国-欧州、米国向けの路線の寄港地となっていましたが、中国発の貨物で一杯だとして抜港(寄港をスキップされてしまうこと)されてしまっているようです。このために日本-マレーシア間の貨物も滞っているようです。

仕方なく航空貨物に切り替えたくても、航空貨物とキャパが無い


これまでも海上貨物では程度の差はあれこのような問題が発生してきました。その場合、どうしても送る必要がある貨物については、航空便に切り替えてきました。運賃は数倍になってしまうので泣く泣くではありますが。ところが今回のケースでは新型コロナの影響で航空貨物の輸送キャパシティも小さくなってしまっているので簡単ではない様です。
さすがに部品が届かなくて日本企業の海外生産拠点が停止するなどということは無いでしょうが、海外製の衣料品や雑貨、生活用品などで欠品が発生するような事が起きるかもしれません。

世界経済の回復の妨げならぬよう、早期回復が望まれます

今振り返ると10月頃には、コロナによる海上コンテナ物流の落ち込みはリーマンショック時よりも回復が速い、といった明るいニュースもありました。世界経済の回復を妨げないよう、混乱した海上物流の早期回復が望まれますが、ウイルスという厄介すぎる相手を前にしては中々難しいと感じています。