あけましておめでとうございます。今年も皆様にとって良いお年でありますよう、お祈り申し上げます。さて、時機を逃してしまった感がありますが、今年最初の記事はバルミューダの上場のお話から。
2020年12月16日に家電メーカーのバルミューダが東証マザーズに上場しました。家電業界にイノベーションを起こしたと評判のトースターで有名です。感動するほど美味しくトーストが焼ける!という、うたい文句は本物で美味しく焼けると評判なのですが、ちょっと高い。というかトースターに2万円も出すのか?と。いう声は何するものぞ、ヒット商品となりました。
アップルと同じ、工場を持たない「ファブレス」経営
さて、上場のニュースで初めて知ったのですが、バルミューダ社は実は自社工場を持っていなかったのですね。2003年に設立された、いわゆるベンチャー企業ですから、開発・マーケティングに資源を集中して、自社開発・生産の総合電機メーカーの間隙を縫ってここまで成長してきたのですね。
この、ファブレス経営ですが、バルミューダ社は上場後も続けていくようです。では、上場によって得た資金はどこに使うのか。ルミューダ創業者の寺尾玄社長は上場に際した記者会見で次のように述べています。「商品と組織で企業は成り立つ。上場による資金調達はすべて投資に回し、商品開発、人材・組織の増強、広告宣伝の3軸で展開していく。自由な発想の開発を続けていく」
人材への開発と言い切るバルミューダ社を応援したい
もちろん、ワタシはバルミューダ社の内部事情は知り得ません。ただ、人件費がコストだという誤った風潮が日本にはびこるなかで、「人材・組織の増強といった投資に資金を使う。」と、人材=投資と言い切っていることです。
また、広告宣伝も投資としていくということです。これはグローバル企業を目指すという社長のビジョンからの流れかと思いますが、ここ20年、マーケティング・広告・宣伝で韓国企業の後塵を拝してしまった苦い経験から重要だと思います。
失礼ながら、彼らは日本など先進国の一流企業のフォロワーとして、独自の技術や商品開発はさておき、広告・宣伝の力をフル活用してここまで大きくなれたのだとワタシは考えています。
それならば、自由な発想で新しい価値を提案するバルミューダ社が、世界に飛躍していく可能性は高いと思っています。
旧来の「ものづくり信仰」からの脱却を。柔軟な発想だって「ものづくり」です
ものづくりは大切です。軽んじる意図はありませんし、日本の国内工場の生産性の高さ、不良品率の低さには敬意を持っています。ただ、結局は生産コスト、特に人件費とエネルギーコストの差に注目され、日本から仕事が流出していった現実があります。
自由な発想で商品を開発することも立派な「ものづくり」です。むしろ、幼いころからモノに囲まれて育ってきた多くの日本人だから出来ることだと思います。もっとシンプルに。もっと洗練されたものを。当たり前だと思われていた既存製品に新たな付加価値をつけること。これは貧困のなかから生まれるものでは無いと思っています。
三丁目の夕日の世界観、努力だけで何とかするという考え方は綺麗に捨て去るべきです。今の日本人の特性をよく考えて、何が強みかを把握してそれを活かせば世界で戦えるようになると思います。