【書評】「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」著者:苅野 進


この帯の一番下の行にある、「頭がいい人、仕事が速い人は「効果があって、解ける問題を発見しているだけ」という言葉に惹かれてこの本を手に取りました。

「解ける問題を発見しているだけ」とはどういうことか?難しいことには手を出さないのか?それとも論理を単純化して、すでに存在する解決策を応用するのか?

トレンドは「課題設定力」や「問題発見力」

長く「問題解決力」が重視されていた時代が続きましたが、近年は「課題設定力」とか「問題発見力」をテーマにした本が増えています。

これは、10年前なら多少複雑な問題であって重宝されても、情報が一瞬にして行きわたる現代、スマホ、タブレットなどハードウエアから実用的なAIが普及段階に入るなど、問題が解決しやすくなっているということが挙げられます。それだけ仕事も生活も便利になっている証左なのでしょう。

一方で問題を解決することが付加価値の源泉である、サービスの提供側である企業やビジネスパーソンは困ったことになりました。既存のサービスの延長線上では需要過多なのですから。

すると、「課題設定力」や「問題発見力」といった、希少価値のある「問題」を発掘することが重要になるのでしょう。

考える力とは、問題をシンプルにすることである。ではどうやって?

本書によると、

「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」

では、どうシンプルにするのでしょう。

「シンプルな問題とは、「解決ができて、解いて効果がある問題」のことである。」

うーん?わかったような。わからないような。抽象的過ぎて、どういう基準がシンプルなのか、どの程度で解決できればシンプルなのかわ良く分からない。

「問題を解決する際は、そもそも解決できないような問題を捨てる勇気が大切である。」

「捨てる勇気」のような話になっていますが、これは同感です。勇気言うか選別する眼の問題のような。

「簡単に取り組むことができて、小さくても短期間で効果が出るもの」を選ぶと良い。問題を発見するときは、「モレなくダブりなく」にこだわりすぎないよう注意が必要である。

小さくても短期間で効果が出る問題への取り組みは良く分かります。後半は完璧を求めるなということでしょうか。

この語、解いて効果がある問題を見極めるための、ステップごとの具体的な思考法、問題発見法が書かれています。その方法が、あんまりシンプルじゃないんですが・・・。

「シンプルにすること」の重要さ

「シンプル」というキーワードが本書では繰り返し登場します。確かに、「シンプルさ」はいつの時代も求められる普遍的な価値だと思います。

そういったこと常日頃から意識することが重要ですね。組織も仕事の進め方も、放っておくと意味もなく複雑化していきがちです。

生産性向上が叫ばれています。稼げる効率化ですね。決して日本経済が、働く人が無視してきたとは思いませんが、データ上はで、いつの間にか稼げない非効率な経済構造になってしまったようです。

そのためには既存の延長線上ではなく、問題自体を疑う、自ら問題を見つけ出す、あるいは、本当の問題は何なのかを見極めるといったことが重要だと本書は訴えているのでしょう。